【5大商社比較】各種指標で比べてみる
PERとPBRは2019/10/30付け 他は2019年3月期の数値 |
PER | PBR | 自己資本比率 | ROE | ROA |
株価が一株当たりの純利益の何倍か | 株価が一株当たりの純資産の何倍か | (総資産-負債)/総資産 | 純利益/純資産 | 純利益/総資産 | |
三菱商事 | 7.29 | 0.78 | 34.5 | 10.71 | 3.63 |
伊藤忠商事 | 6.88 | 1.19 | 29.1 | 17.86 | 5.34 |
三井物産 | 7.1 | 0.75 | 35.7 | 10.06 | 3.56 |
丸紅 | 5.54 | 0.7 | 29 | 12.32 | 3.37 |
住友商事 | 6.43 | 0.82 | 35 | 12.03 | 4.09 |
株の銘柄選択の基準は人それぞれだと思いますが、私は以下の順番で重視しています。
商社の各種指標を比べてみたいと思います。
まず、PER。PERについては同業他社と比較するくらいで、正直絶対値自体がどうのこうのという議論が私にはできません。○倍以下だと妥当とか妥当じゃないとか、個人的には直感的でない感じがします。
次にPBRについて。純資産は会社が解散した場合に株主に返されるお金の目安と考えています。一株あたりの純資産と株価を比べて、株価の方が小さい場合は解散価値より小さく株価が評価されていることになるので、直感的に買いの食指が動きます。現時点では丸紅のPBRが最も低く、注目しています。
5大商社は直近で赤字を垂れ流している訳ではないので、赤字によって純資産が毀損されているということもありません。それなのにPBRが低いのはどうしてなのでしょうか? 私には分かりません。
自己資本比率。高ければ高いだけ借金に頼っていないことになります。
ROE。純資産当たりの純利益なので、自己資本比率が大きくことなる会社同士をそのまま比べてしまうとフェアでない気がします。極端な話、たくさん借金をして純資産が小さければ分母が小さくなるので、ROEも大きくなりますので。
ROA。総資産あたりの純利益なので、直接比較するのであればROEよりフェアな気がします。ただ規模の大きな会社と小さな会社は資産運用効率の難しさは全くことなるだろうとは思いますが。
全然商社の比較になっていませんね。冒頭の表だけでも見て頂ければ嬉しいです。
【決算分析】オリックス 2019年3月期 【貸借対照表】
オリックスが投資対象として気になっているので、決算分析してみることにしました。一息にやると骨が折れるので、まずは貸借対照表からチェックです。
本当はIRから直接読み取れるとカッコイイ(?)のですが、まだ難しいのでサマリしてあるサイトを参照しました。
ものすごく見づらいですね。次回までに改善します。
以下がチェックポイントでした。
- 負債と純資産のバランス
- 流動資産と流動負債のバランス
- 固定資産と純資産のバランス
■負債と純資産
おおよそ負債が75%、純資産が25%となっています。銀行系も負債が大きく自己資本比率が低い形なので似たタイプとなっています。
■流動資産と流動負債
流動資産(=現預金等)が流動負債の25%となっています。これも銀行と似た特徴です。
オリックスはレンタカーのイメージが世間的には強いと思うのですが、実体は金融事業者と言ってよいのかも知れません。
■固定資産と純資産
純資産>固定資産となっています。固定資産は現金化に時間がかかってしまう資産なので、いざという時のために返済義務のない純資産でまかなえていると安全だと考えることができます。
決算の分析力を上げたくなった話
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貸借対照表という漢字すら読めなかった私が、”世界一わかりやすい財務諸表の授業”を読んだことで、財務諸表各種、とくに貸借対照表と損益計算書の作成方法のABCを理解することができました。
いわば初心者編に相当する本でしたので、財務諸表をもう少しだけ深く理解し、決算分析に役立てたいという考えが出てきました。そこで次のステップの初級者編に相当する本を探していました。初心者と中級者の間となる初級者向けの物がなかなか見つけられずにいたのですが、"一生モノのファイナンス入門"という本を発見しました。
決算分析力の向上に向けて、(抽象的な)概念理解中心の勉強から具体的例の分析の勉強にシフトしていくことが良いのではないかと考えています。この本は”世界一わかりやすい財務諸表の授業”よりも実際の企業の財務諸表を参照するケースが多く、しかし終始しているわけでもなく、自分のレベルに合っていると感じました。
これまでの決算分析に貸借対照表の分析は取り入れていなかったのですが、本から得た知見を今後は活かしていきたいと思います。以下抜粋です。
チェックポイント① 負債と純資産のバランスを見る
チェックポイント② 流動資産と流動負債のバランスを見る
チェックポイント③ 固定資産を純資産でまかなえているかどうかを確認する
【決算分析】すかいらーくホールディングス 2019年12月期 Q2決算を読む
本日、すかいらーくのQ2決算が発表されました。確認してみましょう。
すかいらーくの決算短信は結果に対する理由がキチンと書かれていて、好印象を持ちました。
損益計算書(Q1-Q2累計)
表と併せてIR中での説明も加えてみました。
外食産業ですので、人件費をどう抑えることができるかということがポイントと考えます。IRでは店舗数の増加や労働者待遇向上の結果として、
販売費及び一般管理費の売上高比率は前年同期比0.1%悪化
との説明があります。対策についてもコメントがあり、
店舗の作業負荷を軽減し従業員が働きやすく、働き続けやすい職場環境を構築し、デジタル化によるビジネス基盤の強化を図ることで生産性の向上を推進し、人件費の高騰に対応
と述べられていました。決算短信を読んでいると一般的には無機質な印象が強いのですが、すかいらーくの短信はこういったコメントや多数の注釈によって血が通っているように感じられます。
キャッシュフロー計算書(Q1-Q2累計)
営業キャッシュフローが昨年比倍程度の増加となっています。また、投資キャッシュフローについては、
新店・転換・リモデルの店舗投資を含む有形固定資産の取得による支出が17億33百万円増加
と説明があります。営業キャッシュフロー内で十分賄えている出費ではあるので、問題性は感じませんでした。
【決算分析】クックパッド 2019年12月期 Q2決算を読む
【決算分析】伊藤忠商事 2020年3月期 Q1決算を読む
なんだか決算専門ブログのような様相ですが、最近決算チェックがマイブームです。さっそく本題です。
損益計算書
ざっくりとですが、売上総利益が前年同期比で1.4倍、比例して販売費・一般管理費(+貸倒損失)も1.4倍、おまけに営業利益も1.4倍で文句なしではないでしょうか。
キャッシュフロー計算書
営業キャッシュフローの金額が投資キャッシュフローの金額を十分賄うことができています。読み替えると、「設備投資等に必要な投資金額はきちんとキャッシュで稼ぎ出せていますよ」といった具合でしょうか。
一方で財務キャッシュフローの金額が大きいことが気になります。IRでは、
配当金の支払及び自己株式の取得等
と要因が説明されています。4月~6月の「自己株式の取得状況に関するお知らせ」を追ってみると、
- 4月:総額約209億円分
- 5月:総額約402億円分
- 6月:総額約9億円分
総計約620億円分の自己株式を取得したことが確認できるため、一定の説明になっていると言えるのではないでしょうか。
商社同士で比較
最後に比較用に。
【決算分析】クックパッド 2019年12月期 Q1決算を読む【今更】
過日、クックパッド株の保有によって大きな含み損が出てしまっていることを記事にしました。嘆いているだけでは意味が無いので、この先のことを考える意味でも決算を確認してみようと思います。
損益計算書
売上高に対して売上原価が非常に低いので、売上総利益は売上高に近い数字になっています。その代わりに販売費・一般管理費にごっそりともっていかれて営業利益が残る形です。前年同期比で売上高が減少している一方で、販売費・一般管理費が5億円程度増加してしまっています。
これについてIRでは、
国内外の採用活動強化に伴う人件費およびそれに付随する費用と、CookpadTVを始めとする新規事業に係る費用が増加
と説明されています。今後人件費をどれだけ抑えることができるかという点に注目したいと思います。
キャッシュフロー計算書
各項目について、大雑把に私は以下のように読んでいます。
- 営業活動によるキャッシュ・フロー:本業でどれだけのキャッシュを得たのか
- 投資活動によるキャッシュ・フロー:設備投資等の投資にいくら使ったのか(マイナスの金額が使った金額)
- 財務活動によるキャッシュ・フロー:借金の返済にいくら使ったのか(マイナスの金額が使った金額)
理想的には投資に使うお金は営業キャッシュフローの一部を充てることだと思いますが、当期の営業キャッシュフローはそもそもマイナスになってしまっています。
これについてIRでは、
税引前四半期利益300百万円、減価償却費及び償却費160百万円を計上した一方で、法人所得税等の支払額735百万円が生じた
と記載されています。営業キャッシュフローのマイナスが続いてしまわないかどうかについて注視したいと思います。