分散投資は何が良いのか? -格言に隠されたメッセージ-
巷の投資指南では分散投資が非常に多く推奨されています。"卵は1つの籠に盛るな"という格言もあります。
しかし、こう思ったことはないでしょうか?(少なくとも私はあります)
「せっかく値上がりした銘柄があっても、同時に値下がりした銘柄を抱えていたら打ち消してしまって損じゃん。」
、、、格言の意図を検証してみましょう。
シナリオ設定
所持金は100万円。企業A、B、C、Dのある2時点間の株価の推移は以下の通りとする。
簡単のために全て1株の値段としましょう。
- 企業A:25万円→30万円
- 企業B:25万円→20万円
- 企業C:20万円→10万円
- 企業D:10万円→12万円
パターン1:1銘柄全力買い!
a) 企業Aを買っていた場合
100万円で4株購入→1株が30万円になるので、トータル120万円
120万円 - 100万円 = +20万円
b)企業Bを買っていた場合
100万円で4株購入→1株が20万円になるので、トータル80万円
80万円 - 100万円 = -20万円
c) 企業Cを買っていた場合
100万円で5株購入→1株が10万円になるので、トータル50万円
50万円 - 100万円 = -50万円
d) 企業Dを買っていた場合
100万円で10株購入→1株が12万円になるので、トータル120万円
120万円 - 100万円 = +20万円
パターン2:3つの企業に分散
a) 投資金額をできるだけ均等に分散するため、企業A、B、C、Dを1:1:1:3で買っていた場合
企業A:25万円 * 1 = 25万円→30万円 * 1 = 30万円 +5万円
企業B:25万円 * 1 = 25万円→20万円 * 1 = 20万円 -5万円
企業C:20万円 * 1 = 20万円→10万円 * 1 = 10万円 -10万円
企業D:10万円 * 3 = 30万円→12万円 * 3 = 36万円 +6万円
計 -4万円
比べてみよう
結果の良かったパターン順に並べてみましょう。
- +20万円 (パターン1-a、パターン1-d)
- -4万円 (パターン2-a)
- -20万円 (パターン1-b)
- -50万円 (パターン1-c)
パターン1-a、パターン1-dを見つけられるならそれに越したことはないですね。
ただ、実際には見分けられず、パターン1-a、1-b、1-c、1-dをそれぞれ同じ確率くらいで選びそうだと考えると期待値はどうでしょうか。
パターン1の期待値:(+20万円 * 1/4) + (+20万円 * 1/4) + (-20万円 * 1/4) + (-50万円 * 1/4) = - 7.5万円
パターン2-aよりも悪い結果になりましたね。
結論:格言を簡単に説明すると?
"卵は1つの籠に盛るな"="上がる銘柄を見つけるのは無理だから、大人しく分散投資しなさい"
、、、失礼な格言ですね (笑)
【超理論?】銀行口座の底に眠ったお金はあっても無くても同じ→積極的にリスクに晒すべき!
本当に突然ですが、プログラミングで出会う、"スタック"と"キュー"というデータ構造をご存知でしょうか。前置きに少しだけお付き合い下さい。
厳密な定義は他を参照頂くとして、スタックもキューもデータの入り口は図の2つの箱の上の口と思って下さい。
2つの違いはデータの出口です。①、②の順番で上から箱に入れたとして、
- スタック(Last In First Out、後入れ先出し):データの出口は上
- キュー(First In First Out、先入れ先出し):データの出口は下
となります。
ここでスタックの箱を皆さんの預金口座、データ①、②を預け入れたり、引き出したりする現金と置き換えて下さい。
普段の生活で10,000円を引き出したり、逆に20,000円を預け入れたり、ご自身の口座に対して増減のやりとりがされると思います。ここで最後に預け入れたお金、つまりスタックの上から引き出しを常に行うと仮定すると、スタックの底の方に眠り続けるお金が存在することになります。
人によってこの眠ったお金の多寡は違うと思いますが、ここで乱暴な結論を導きます。
この眠ったお金はあっても無くても同じ
なのです。引き出すことは無いのですから。通帳さえ見なければ存在しないような物です。であれば、この眠ったお金にはリスクを負ってもらいましょう。(利息が発生する対象が減ってしまうじゃないかという指摘は正論なのでスルーさせて下さい 笑)
あまりに乱暴な結論なので色々とツッコミ所はあるかと思いますが、私が投資を初めたのはこの考えに至ったことがきっかけです。いかがでしょうか?